17.教員免許更新制、廃止の方向へ

こんにちは。

今回は、「教員免許更新制の廃止」について記します。

 

 

 

「教員免許更新制の廃止」が文部科学省で固まりました。
今後は審議会などの議論を経て、廃止が決定する見込みです。

なお、この制度は2007年(平成19年6月)の「改正教育職員免許法」の成立により、2009年(平成21年4月1日)から導入され、かれこれ12年も続いています。

2006年に第一次安倍晋三内閣が立ち上げた「教育再生会議」による提言の一つです。

 

目次】

1.教員免許更新制の廃止に関する記事を3点引用

2.そもそも、教員免許更新制とは?

3.もともと、教員免許更新制の導入が無意味だった

4.参考リンク集(「教育再生会議関連」および「教員志願者の減少」関連)

5.今までの投稿一覧

 

1と2は、マスコミや文部科学省サイトの引用です。

3に私の思いを記しました。

 

 

 

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有限会社エイキまで。

 

 

 

1.教員免許更新制の廃止に関する記事を3点引用

 

 

各社のタイトルでお分かりの通り、次の順で詳しくなっていきます。

 

タイトル:「10年ごとの教員免許更新 廃止へ 文部科学省」

「教員免許更新制」は小中学校や高校などの教員免許の有効期間を10年とし、講習を受けさせたうえで免許を更新する制度で、教員の資質能力の保証を目的に第一次安倍政権のもとで法改正され、2009年度から導入されました。

この制度では30時間以上の講習や3万円ほどの受講料が教員の負担となっているなどと課題が指摘されていて、萩生田文部科学大臣はことし3月に中教審=中央教育審議会に教員免許更新制について抜本的な見直しを行うよう諮問していました。

また、今月5日に文部科学省が公表した教員への調査結果では、講習の総合的な満足度について肯定的な回答は2割弱だった一方、否定的な回答が6割近くに上っていました。

こうした中、文部科学省は多忙な教員の負担感の増加や人材確保への影響などを考慮して、教員免許更新制について廃止する方針を固めたことが関係者への取材でわかりました。

一方、今後も教員の資質能力を確保していくためには、オンラインで受講できる研修の活用や、教育委員会や大学などが提供するプログラムを集約する仕組みなどの検討が必要だとしていて、中教審などでの議論を踏まえ最終的に決定する見通しです。

1分12秒の映像

 

次に「朝日新聞デジタル」(2021年7月12日13時54分)から。

タイトル:「教員免許更新制、文科省が廃止検討 うっかり失効の原因」

 教員免許に10年の期限を設け、更新前に講習を受けないと失効する「教員免許更新制」について、文部科学省が廃止する方向で検討していることが、政府関係者への取材で分かった。教員の資質確保を目的に第1次安倍政権時代の2009年度に始まったが、教員の負担が増え、教員不足の一因にもなっていると、学校現場から批判が出ていた。

 更新制については萩生田光一文科相が3月、中央教育審議会に「抜本的な見直し」を諮問した。中教審では廃止論が大勢で、8月にも廃止の結論を出す見通し。これを受け、文科省は廃止を表明し、来年の通常国会で必要な法改正を目指す方向だ。廃止となった場合、教員が受けてきた30時間以上の更新講習の代わりに、オンラインによる教員研修の充実などが検討されている。

 更新制は「不適格教員の排除」を目的に自民党などが導入を求め、「教員の資質確保」に目的を変えて09年度に始まった。無期限だった幼稚園や小中高校などの教員免許に10年の期限を設け、期限が切れる前の2年間で計30時間以上、大学などでの講習を受けなければ失効するしくみだ。

ただ、夏休みなどに自費で受ける講習は多忙化する教員に不評で、文科省が今月5日に公表した調査では、約6割が講習に不満を抱いていた。更新期限があるため、定年退職前の教員が早期退職する動機となったり、産休や育休をとる教員の代わりに任用する教員が不足したりと、教員不足の一因とも指摘された。また、制度が複雑なため、現職教員が更新を忘れて教壇に立てなくなる「うっかり失効」も相次いでいた。

 これまでの中教審の小委員会で文科省は、都道府県などが行う教員研修をオンラインなどで充実する案を提示した。委員からは「こういうことができれば更新制でなくてもできるのではないか」などと賛同する発言があり、廃止論が大勢となっている。(伊藤和行)

 

最後は「読売新聞オンライン」(2021年7月11日 05:00)です。

タイトル:「【独自】教員免許更新制、廃止へ…「教育再生」掲げたが負担に比べ効果薄く」

 政府は、幼稚園や小中高校などの教員免許を10年ごとに更新する教員免許更新制を廃止する方針を固めた。更新制は教員にとって手間がかかる割に、資質向上の効果が低いと判断した。免許を無期限とする代わりに、教育委員会による研修を充実・強化させる。文部科学省が8月中に中央教育審議会(文科相の諮問機関)に方針を示し、来年の通常国会に関連法改正案を提出する考えだ。

 更新制は、「教育再生」を掲げた第1次安倍内閣時代の2007年の法改正で導入が決まり、09年度から実施された。目的は不適格な教員の排除ではなく、最新の知識・技能の習得だ。文科省の調査によると、昨年3月末が期限だった現職教員のうち、特例による期間延長も含めて免許更新したのは99・43%だった。

 10年の有効期間満了が近づくと、教員は全国の大学などで開かれる更新講座から受講先を選び、申し込む。教育政策の動向や教科指導に関する30時間以上の講習を修了し、教委に申請すれば免許更新が完了する。

 しかし、学校現場からは講習に「実践的ではない」「教委の研修と内容が重複している」などの不満が出ていた。受講時間確保が難しいとの声や、数万円の受講料負担への不満も多い。

 こうした負担感が、教員不足に拍車をかけるとの懸念も出ている。文科省が4~5月、現職教員約2100人を対象に行ったアンケートでは、50代での受講について、36・8%が「早期退職のきっかけとなると思う」と回答した。

 講座の有効性について、文科省内でも、10年に1回では時代の変化に対応できないとの懸念がある。このため、萩生田文科相が3月、更新制の「抜本的な見直し」を含めた教員養成のあり方を中教審に諮問し、制度の再検討を進めていた。

 文科省は、頻繁に実施できる各教委の研修を充実させ、教員の質向上を図る方針だ。情報通信技術を活用して教員の研修履歴を記録・管理し、個人の特性に応じた内容とすることを検討している。場所や時間を問わずに受講できるオンライン研修も拡充する。研修の具体的な内容については中教審で議論する予定だ。

 

 

 

2.そもそも教員免許更新制とは?

 

 

教員免許更新制について、文部科学省のサイト(2021年7月13日時点)を以下にコピーします。

長いですので、冒頭の「目的」箇所(太字にしました)だけでもお読みいただければと思います。

 

目的

 教員免許更新制は、その時々で求められる教員として必要な資質能力が保持されるよう、定期的に最新の知識技能を身に付けることで、教員が自信と誇りを持って教壇に立ち、社会の尊敬と信頼を得ることを目指すものです。
※ 不適格教員の排除を目的としたものではありません。

基本的な制度設計について

○新免許状(※1)には10年間の有効期間が付されます。
○有効期間を更新して免許状の有効性を維持するには、2年間で30時間以上の免許状更新講習の受講・修了が必要です。
○旧免許状(※2)所持者にも、更新制の基本的な枠組みが適用されます。

※1 平成21年(2009年)4月1日以降に初めて授与された免許状
※2 平成21年(2009年)3月31日以前に初めて授与された免許状
旧免許状所持者が平成21年4月1日以降に新たに免許状を授与された場合も、旧免許状として授与されます。
旧免許状には有効期間は付されませんが、生年月日によって最初の修了確認期限が設定されます。
更新講習修了確認を受けて免許状の有効性を維持するには、2年間で30時間以上の免許状更新講習の受講・修了が必要です。
教員免許状を有効な状態で保持するためには、有効期間満了日又は修了確認期限の2年2か月前から2か月前までの2年間に、
大学などが開設する30時間以上の免許状更新講習を受講・修了した後、免許管理者(都道府県教育委員会)に申請する必要があります。
また、有効期間の延長又は修了確認期限の延期、講習の受講免除が可能な事由に該当する場合、免許管理者(都道府県教育委員会)
に申請することにより、有効期間の延長又は修了確認期限の延期、講習の受講免除が可能な場合があります。

教員免許更新制のおおまかな流れ

(1) 有効期間の満了の日を確認。若しくは最初の修了確認期限を確認。

新免許状所持者の方は、所持している免許状に記載されている有効期間満了日を確認してください。
有効期間の異なる複数の免許状を所持している場合は、その最も遅く満了する日が、自動的に全ての免許状の有効期間満了日となります。
旧免許状所持者の方は各自が必ず下記のページ「表1、表2」を御覧頂き、
最初の修了確認期限 令和   年  月  日を確認してください。
⇒修了確認期限をチェック

(2) 受講資格を確認

免許状更新講習は、受講対象に該当する者のみ受講することができます。
⇒受講対象者について

(3) 各自が文部科学省や大学のホームページ等を確認して、受講したい免許状更新講習を選択 (対面式講習とインターネット等を活用した通信式講習の2種類があります。)

あなたの免許状更新講習受講期間(有効期間の満了の日又は修了確認期限の2年2か月前から2か月前までの2年間)
令和   年  月   日  令和   年  月   日
をご確認下さい。
⇒講習開設情報

(4) 各自が各大学等に受講申込み

受講申込みの際、受講対象に該当している証明が必要になります。(※証明の方法は、各大学等の指定の様式によります)

(5) 各大学等で免許状更新講習を受講します

 

(6) 講習の課程を修了

30時間以上の講習の課程を修了(課程の一部である場合は履修)した場合は、
各大学等から修了認定(履修認定)され、修了証明書(履修証明書)が発行されます。

(7) 有効期間の更新又は更新講習修了確認のための申請

各自が修了証明書又は合算して30時間以上となる履修証明書を添付して、免許管理者(勤務する学校が所在する都道府県教育委員会(現職教員の場合)又は住所地の都道府県教育委員会(現職教員でない場合))に有効期間の更新又は更新講習修了確認のための申請を行う必要があります。
⇒申請先一覧

(8) 有効期間更新証明書又は更新講習修了確認証明書の発行

免許管理者は、申請者が免許状更新講習の課程を修了したことを確認し、有効期間更新証明書又は更新講習修了確認証明書を発行します。

(9) 次回の有効期間満了日又は修了確認期限の確認

次の有効期間満了日又は修了確認期限(10年後)まで持っている全ての教員免許状が有効です。

 

免許状更新講習の受講対象者の拡大について

このたび、「子ども・子育て支援法及び就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律の一部の施行期日を定める政令(平成25年政令第193号)」が平成25年6月26日に公布され、同年7月1日に施行されるとともに、平成25年8月8日より「免許状更新講習規則の一部を改正する省令(平成25年文部科学省令第23号)」が公布され、同日から施行されます。
この改正省令では、幼稚園教諭免許状を保有している認可保育所の保育士が、免許状更新講習を受講できるよう、受講資格が拡大されました。

なお、改正省令の詳細については下記をご参照ください。

教育職員免許法施行規則の一部を改正する省令等の公布及び施行について(通知)(※国立国会図書館ホームページへリンク)別ウィンドウで開きます

改正箇所
【改正前の免許状更新講習が受講できる対象者】
・ 幼稚園を設置する者が設置する認可保育所及び認可外保育施設の保育士

【改正後の免許状更新講習が受講できる対象者】
・ 認可保育所の保育士
・ 幼稚園を設置する者が設置する認可外保育施設の保育士

お問合せ先

総合教育政策局教育人材政策課

 

 

3.もともと、教員免許更新制の導入が無意味だった

 

最後に私の思いを書きます。

「教員免許更新制」に係る「「改正教育職員免許法」が成立した2007年(平成19年)、私は大学の教務部で教職課程を担当していました。

「他の職業ではなく、教員にだけ30時間もの講習を受けさせるとは何ごとだ!!!」
と驚きました。

「この制度を提案した委員(有識者)たちは、『あなたの今の職業を続けるために10年ごとに30時間の講習を受けるべきだ』と命令されたら、どう感じるだろうか?」
と反論したくなった記憶があります。

「委員(有識者)は、ご自分こそ、自身の職業の研修を受けなさい」
と憤りました。

「各教育委員会は既に先生に対して研修を行っている。新たな講習会の内容は、既存の研修会と重複しないのだろうか?先生や教育委員会の負担が増えるだけではないか」
と気になりました。

「現場の先生方の今後の教育実践に活かせる講義を大学教員が出来るのか?」
と心配になりました。
このことを逆に申せば、
「大学教員の教育能力と大学の運営能力が外部から問われることになる。大学の選別をする指標に使用されるのではないか?」
ということです。

 

これらの危惧を一言で申せば、こうです。

「教育現場の改善がこんな制度で出来ると考えている政治家や文部科学省において、現実感覚が欠如しているのではないか?」

 

案の定、今になって当時の「有識者」なる構成員を「文部科学省サイト」で調べますと、次の通りです。

構成員としては、「有識者」に「内閣総理大臣、内閣官房長官、文部科学大臣」が加わります。
当時は、順に安倍晋三、塩崎恭久、伊吹文明の3氏でした。

 

 

拡大→「教育再生会議 有識者」

 

なかでも、「教員の資質向上・教員免許の更新制度」を審議した第一分科会の有識者は以下の通りです。

 

拡大→「拡大教育再生会議第1分科会 学校再生分科会名簿」

 

何という豪華な顔ぶれでしょう?

しかし、一般的教員像と合致する方は構成員に見当たりません。

※ 義家弘介氏の後任の宮本延春氏にみ現役の教諭の肩書です。
・2005年に母校豊川高校に就任なさっばかりの方でした。
・現在は教員をお辞めになって、講演活動や著作活動をなさっているようです。
(参考にしたサイト)
「宮本延春オフシャルサイト」
「日本綜合経営協会サイト」
「ウィキペディア 宮本延春」

 

 

【結論】

 

「教員免許更新制」は、教員叩きの世論が高まった時に、その高まりを抑えるためにアリバイ的に作った制度だと私は考えております。

この制度の運用により、先生方の教育に関する知識と技能がどれだけ高まったのでしょうか?

さらには、人的・物理的・時間的・金銭的資源が大量に奪われてきたことを思うに、実に悔しく悲しい思いがします。

今後、文部科学省あるいは政治家が主導となりまたぞろ新たな制度を創設するならば、まずは現場の意見を充分にくみ取る仕組みを作っていただきたいものです。

「政治家やマスコミからの圧力と世論誘導→文部科学省での試案作り→審議会開催によるアリバイ作り→文部科学委員会での審議→国会での決定」、
この現在の流れの当初に、「現場からの要望提出」という段階を制度的に作ることはできないものかと願います。

 

今後の委員会・国会審議に置いて、「教員免許更新制」が必ずや廃止となりますように。

 

 

 

4.参考リンク集

 

【教育再生会議関連リンク】

・第一次安倍晋三内閣が2006年10月閣議決定により設置した
「教育再生会議」

・「教育再生会議」の現在の後継機関は、「教育再生懇談会」を経て、2013年(平成25年)1月に発足した
「教育再生実行会議」

・ご参考まで
「教育再生実行会議」の「最新議事録 2021年6月3日」

 

【教員志願者の減少関連リンク】

以下は、「教員志願者の減少に関する記事」のリンク集です。

今回のブログ内容とは直接にはむすびつきがないものの、なにかしらの接点があると思い載せます。

 

「2021年教育崩壊!?教員採用試験倍率低下にみる問題の核心(アゴラ)」

学校の先生になりたい人が減っている!? 〜教員不足で露見した過剰労働の現実(イミダス)」

「令和2年度(令和元年度実施)公立学校教員採用選考試験の実施状況について」

 

 

 

 

5.今までの投稿一覧

 

17.教員免許更新制、廃止の方向へ

16.懲戒後の人事:室伏広治スポーツ庁長官を支える次長

15.大学入試で受験生に求める学力とは? ーアドミッション・ポリシーは各大学に任せよー

14.オリンピックへのボランティアを大学に通知した高等教育局長は今?

16.懲戒後の人事:室伏広治スポーツ庁長官を支える次長

こんにちは。

東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委員会会長を辞任した森喜朗氏の後任人事が注目されています。

そんな折、室伏広治スポーツ庁長官を支えるスポーツ庁次長を例に、文部科学省における懲戒後の人事について感想を述べます。

 

まずは、2017年1月に発覚した天下り事案からスタートしましょう。

前川喜平事務次官が引責辞任することになった事案と申せば、思いだされる方も多いことでしょう。

 

【目次】

1.文部科学省における再就職等規制違反を振り返る

2.懲戒処分の内容

3.処分内容で一番重い「停職」の職員の今

4.文部科学省の懲戒後の人事への感想

5.日本経済新聞 「文科省天下りで37人処分 最終報告、違法事案62件に」(2017年3月31日)

6.今までの投稿一覧

 

 

1.文部科学省における再就職等規制違反を振り返る

 

事の起こりは、内閣府再就職等監視委員会が文部科学省へ「国家公務員法に規定する「再就職等規制」に違反する旨の調査結果」を通知したことに始まります。

この調査結果は、「Y元文部科学省高等教育局長が早稲田大学大学総合研究センター教授に天下りした事例に関し、2015年に在職中であった文部科学省職員が利害関係のある法人に対し求職活動を行ったこと、および人事課の職員がその法人に職員の情報を提供した」という通知でした。

競争的科学研究費・補助金・奨学金の採択、および学部新設や新プログラムなどにおいて、文部科学省の各大学に対する権限が強化されていた時期です。

文部行政の変化の中、各大学は文部科学省の動向及び実務について敏感でした。
大学側に身を置く者としては、「文部科学省職員を理事や事務局長や教員として受け入れることによる実利と見返りを期待した」としても無理はありません。

しかしながら、2008年末に施行された改正国家公務員法は、現役職員による再就職の斡旋を禁じていました。

この法律をかいくぐるために文教フォーラムを隠れ蓑にして、大学と文部科学省人事課との間で関係付けを取り持ちました。
「文部科学省職員の人材情報」と「大学の求人情報」とのマッチングをしたと見られます。

 

2.懲戒処分の内容

 

文部科学省の内部調査によって、62件の国家公務員法違反が確認されました。

OBである歴代事務次官8名を含む幹部37人が懲戒処分を受けたそうです。

処分内容については、訓告、戒告、文書厳重注意、減給、停職でした。

参考にしたのは日本経済新聞(2017年3月31日)です。
最後にコピーを載せます。

 

3.処分内容で一番重い「停職」の職員の今

 

当時の文部科学省大臣官房人事課長は、他省の職員の履歴書送付・面談の日程調整の実務まで関わったせいか、処分内容で一番重かった「停職3ケ月」。

参考サイト

「文部科学省における再就職等問題に係る調査報告(最終まとめ)概要(2017年3月30日)」

「文部科学省における再就職等問題に係る調査報告(最終まとめ)本文(2017年3月30日)」

文部科学省における再就職コンプライアンスの取組

 

さて、停職となった元人事課長が、今どのような役職を担っていらっしゃいますでしょうか?

 

「スポーツ庁次長」です。(2021年2月17日現在)

室伏広治スポーツ庁長官に次ぐNo2です。

(スポーツ庁の定員は120人)

 

(画像引用:「スポーツ庁組織図」)

 

4.文部科学省の懲戒後の人事への感想

 

 

地方公務員(教育公務員)では、「停職3カ月」という重い懲戒の場合、懲戒後の人事において冷や飯を食うことになりますね。

一例:日本酒1升飲み運転の教諭 停職3か月の懲戒処分 島根(

 

ところが、キャリア官僚の場合は異なるようですね。

スポーツ庁次長とは、どれくらいの役職なのかは私にはわかりません。

参考になりそうなのは、次長に次ぐスポーツ庁No3の現審議官が「国立高等専門学校機構理事→官房参事官」を今まで歴任していたということです。
時評社サイト参照)

 

5.日本経済新聞 「文科省天下りで37人処分 最終報告、違法事案62件に」(2017年3月31日)

 

標記記事を載せます。

文部科学省による組織的な再就職あっせん問題で、松野博一文科相は30日、国家公務員法に違反する行為があったなどとして、歴代事務次官8人を含む37人を処分したと発表した。2月の中間まとめ以降、同省の調査で新たに27件の違反が判明。違法事案は2010~16年の計62件となった。うち半数で仲介役のOBを経由せず、現役職員が直接関わっていた。

同省はこれらを盛り込んだ最終報告を29日、政府の再就職等監視委員会に報告した。1月に公表した分を含め、天下り問題での処分者は計43人。同省では過去最多となった。最終報告では2月の中間まとめで違反が確認できないとしていた8件も違法と認定した。

松野文科相は30日、記者会見して謝罪し「国民の信頼を失ったと感じている。文科省の組織風土を改める」と述べた。同省の問題を受け、内閣人事局も全省庁の国家公務員の天下りの実態調査を進めている。

今回処分された37人のうち懲戒処分は16人。前川喜平、山中伸一、清水潔各氏の歴代事務次官を含む5人が最も重い停職(退職者は停職相当)で、11人が減給や戒告。戸谷一夫事務次官ら21人が訓告や文書厳重注意となった。駐ブルガリア大使を務める山中元次官は30日、岸田文雄外相に辞意を伝えた。

再就職の仲介役だった人事課OBの嶋貫和男氏は関与が退官後だったため処分対象から外れた。

国家公務員法は職員が退職者の再就職をあっせんすることなどを禁じている。

最終報告は、08年末に再就職規制が厳しくなったことへの対応として、OBによるあっせんは違法ではないと軽く考えたことで、組織的なあっせんが始まったと指摘。再就職に関する情報は嶋貫氏や別のOBなど様々なルートを通じて人事課や現役職員に伝えられた後、人事課で集約され、意見を聞き調整するために事務次官らと共有することもあった。

今回新たに判明した27件のうち、12年11月にOBが在籍する金融機関が文科省に後任人事の相談をしたケースでは、相談を受けた人事課職員が嶋貫氏に報告。金融機関側との窓口になり、別のOBが就く人事案を幹部らに報告していた。私立大学の振興や助成に関わる私学部長は15年1月、旧知のOBから再就職の希望を聞き、私大に人事情報を提供していた。

同省の調査で明らかになった人事課内の引き継ぎ書類には再就職先を決める手順が記され、この中で嶋貫氏は「某氏」と名前をぼかして書かれていた。政府の再就職等監視委員会の調査に虚偽の回答をする手法も継承されていた。

一方で、違法とされた62件の半数は嶋貫氏を介さず現役職員が直接関わっていた。外務省職員や経済企画庁(現内閣府)元職員の再就職先について、人事課長が大学と情報をやりとりしていた。

文科省の調査班は関係する職員らにヒアリングを計309回実施。調査班によると、処分を受けた職員の一部は違法性を認識していたが、「やめた方がいい」と主張した者はいなかったという。

以上

 

なお、負け知らずの十種競技元日本チャンピオンであり、妄想格闘家の武井壮氏は、室伏広治氏にだけは勝てないそうです。

→日本放送:スポーツ庁長官・室伏広治は「倒せない!」……百獣の王・武井壮が「最強のアスリート」と評価する理由

「最高の生物:室伏編」

 

 

6.今までの投稿一覧

 

16.懲戒後の人事:室伏広治スポーツ庁長官を支える次長

15.大学入試で受験生に求める学力とは? ーアドミッション・ポリシーは各大学に任せよー

14.オリンピックへのボランティアを大学に通知した高等教育局長は今?

15.大学入試で受験生に求める学力とは? ーアドミッション・ポリシーは各大学に任せよー

こんにちは。

 

「大学入学共通テスト」が導入されて初めての入学試験の最中です。

鳴り物入り改革であった「記述式問題の導入」と「英語の資格・検定試験の共通テスト」はというと、結局は導入を見送られました。

結構なことだと思います。

参考→「高校生新聞」

 

今回は、これら改革案のキー概念である「アドミッション・ポリシー(入学者受入れの方針)」について、考えます。

具体的には、
・「大学は受験者に対して、入学試験で何を問えばよいのか?」という問題について考えます。

 

【目次】

1.「アドミッション・ポリシー」の意味は? ーその位置づけについてー

2.入学試験で把握すべき3つの学力についてー文部科学省の考え方とはー

3.大学入試は、企業採用試験と同じでよいのか?

4.アドミッション・ポリシー・求める学力内容については大学に任せよ

5.今までの投稿一覧

 

不動産のご相談は→「エイキ不動産」

1.「アドミッション・ポリシー」の意味は? ーその位置づけについてー

 

まずは、「学校教育法施行規則 (第四節 認証評価その他 第165条の2」を引用します。

(「認証評価」については、「学校教育法第109条」を参照願います)

 

第百六十五条の二 大学は、当該大学、学部又は学科若しくは課程(大学院にあつては、当該大学院、研究科又は専攻)ごとに、その教育上の目的を踏まえて、次に掲げる方針を定めるものとする。

一 卒業又は修了の認定に関する方針
二 教育課程の編成及び実施に関する方針
三 入学者の受入れに関する方針

 

すなわち、学生を受け入れて送り出すまでの3方針を大学が策定し公開するよう、「学校教育法施行規則」に文部科学省が加えたのです。

(3方針を策定・公表しないならば、大学として認証されませんので、大学にとりましては必須事項となります)

 

なお、大学内、およびマスコミ等では、次のように「出口・中身・入口」と表現されることが多いです。

 

1.(出口についての方針)
「ディプロマ・ポリシー(卒業認定・学位授与の方針)」

2.(中身についての方針)
「カリキュラム・ポリシー(教育課程編成・実施の方針)」

3.(入口についての方針)
「アドミッション・ポリシー(入学者受入れの方針)」

 

2.入学試験で把握すべき3つの学力についてー文部科学省の考え方とはー

 

文部科学省高等教育局長は毎年、「令和〇年度大学入学者選抜実施要項について」という通知文を各大学長宛に送ってきます。

各大学は、この実施要項に沿って入学試験に関するあらゆる事柄を議論・決定・実行しなければいけないこととなります。

どのようなことが書かれているのかと申しますと、例えば、受験生を評価するにあたりアドミッション・ポリシーに基づき「3つの学力」を把握することが記されています。

 

3つの学力については、このように書かれています。

 

能力・意欲・適性等の評価・判定に当たっては,アドミッション・ポリシーに基づき,学力を構成する特に重要な以下の三つの要素のそれぞれを適切に把握するよう十分留意する。

その際,入学後の教育との関連を十分に踏まえた上で,入試方法の多様化,評価尺度の多元化に努める。
なお,高等学校の学科ごとの特性にも配慮する。

① 基礎的・基本的な知識・技能(以下「知識・技能」という。)
② 知識・技能を活用して,自ら課題を発見し,その解決に向けて探究し,成果等を表現するために必要な思考力・判断力・表現力等の能力(以下「思考力・判断力・表現力等」という。)
③ 主体性を持ち,多様な人々と協働しつつ学習する態度

 

(引用元:「令和3年度大学入学者選抜実施要項について(通知)」

 

結論としましては、①②③が「学力」を構成する3要素であると文部科学省が主張していることになりますね。

 

3.大学入試は、企業採用試験と同じでよいのか?

 

文部省が主張する学力3要素、まるで企業の採用試験において人事担当者が言いそうな言葉ではないでしょうか?

企業の人事担当者が言いそうな言葉は、例えば、「弊社が皆さんに求める能力は三つあります。それは第一に「知識」。第二に「問題発見解決能力」。第三に「コミュニケーション能力」です」。

大学入学試験で受験生に求める学力が、企業採用試験で学生に求める学力と同じで良いのでしょうか?

 

文部科学省が求める学力の3要素について、順に考えていきましょう。

 

1.① 基礎的・基本的な知識・技能。

これは、理解できます。

 

2.② 知識・技能を活用して,自ら課題を発見し,その解決に向けて探究し,成果等を表現するために必要な思考力・判断力・表現力等の能力。

ここからが急に理解不能になります。

何点か挙げます。

・① とは異なり、単語に「能力」が付いていることからが不思議です。

・「知識・技能を活用して,自ら課題を発見し,」とありますが、課題というものは「知識・技能を活用」すれば発見できるのでしょうか?

・「成果等を表現するために必要な思考力・判断力・表現力等の能力」とありますが、成果等を表現するとはどういうことでしょうか?
無言で黙々と作業をこなすタイプ、有言実行・無限実行のタイプ、課題を課題とすら感じないタイプ、それぞれ成果の表現方法は異なります。
そもそも、思考力・判断力・表現等の能力は、成果等を表現するためのものでしょうか?
余りにも表現優先となっている点が不可解です。

 

3.③ 主体性を持ち,多様な人々と協働しつつ学習する態度

どのような入学試験をしようとも、この学力は測れないです。
面接を導入しても不可能です。
ましてや、「態度」に対してどのように優劣をつけるのでしょうか?
「態度」の優劣は、嫌みですが面接官の好みでしかありません。

 

②と③の「表現」「多様性」「協働」という単語は、社会一般で流行っている言葉を「要項」に流用しただけなのではないかと思いたくなります。

 

 

4.アドミッション・ポリシー・求める学力内容については大学に任せよ

 

「③ 主体性を持ち,多様な人々と協働しつつ学習する態度」。

文部科学省の言葉です。

 

受験生を評価する学力に「多様な人々」と書くくらいならば、同様に「多様な大学」を認めて欲しいものです。

 

5.今までの投稿一覧

 

15.大学入試で受験生に求める学力とは? ーアドミッション・ポリシーは各大学に任せよー

14.オリンピックへのボランティアを大学に通知した高等教育局長は今?

14.オリンピックボランティア配慮を大学に通知した高等教育局長は今? 

こんにちは。

お久しぶりです。

 

オリンピック・パラリンピックの2021年の開催、

はたして可能なのでしょうかねえ?

 

【目次】

1.ボランティアを大学に奨励した文科省高等教育局長の今

2.大学入試センターの役員報酬

3.故・中曽根氏の合同葬 文科省が国立大に弔意の表明を求める

4.今までの投稿一覧

 

 

1.ボランティアを大学に奨励した文科省高等教育局長の今

 

 

オリンピック期間中、学生がボランティアに参加しやすいように、「学事暦を変更することができる」という旨の通知文が平成30年7月に文部科学省から発信されていました。

 

このことにつきましては、

『5.「オリンピック」を御旗にする文部科学省』という投稿を2年少し前にupしております。

クリック→投稿記事です。

 

投稿の中で引用した文部科学省の通知文の標記は、以下です。

 

平成30年7月26日

各国公私立大学長
各国公私立高等専門学校長 殿

スポーツ庁次長
今里 讓

文部科学省高等教育局長
義本 博司

平成32年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法及び平成31年ラグビーワールドカップ大会特別措置法の一部を改正する法律による国民の祝日に関する法律の特例措置等を踏まえた対応について(通知)

本文略

 

さて、この通知文の発信人の「文部科学省高等教育局長 義本博司さん」は、今何をなさっているのでしょう?

ふと気になり調べてみました。

 

以下は、「朝日新聞デジタル 2019年1月22日」のコピーです。

 

文科省局長、事実上の更迭か 不適切接待で処分、出向へ

増谷文生、矢島大輔

柴山昌彦文部科学相は22日、大学などを担当する高等教育局の義本博司局長(57)を大学入試センター理事に出向させる人事を発表した。2020年度から始まる大学入学共通テストの実施などを担当するポストだが、局長クラスがセンター理事に就くのは異例。義本氏は不適切な接待を受けたとして昨年に処分をされており、省内では「事実上の更迭」という見方も出ている。

 柴山氏は会見で、「適材適所を基本として必要な人事を行った」と述べた。

 義本氏は17年7月に同局長に就任。同省元幹部2人が逮捕・起訴された汚職事件をめぐり、戸谷(とだに)一夫前事務次官=辞職=らとともに、贈賄側の業者から高額接待を受け、国家公務員倫理規程などに違反したと認定され、9月に減給10分の1(1カ月)の処分を受けていた。

 今月末から始まる通常国会では、消費税の増税分を使った高等教育の負担軽減策などの関連法案が審議される予定。重要法案を担当する局長のこのタイミングでの異動について文科省幹部は「普通はない」と話す。後任の局長には、元大学入試センター理事で、負担軽減策を担当していた伯井美徳・文部科学戦略官(56)が就く。(増谷文生、矢島大輔)

 

(記事中の「汚職事件」は、「文部科学省汚職事件」としてウィキペディアに載っています)

 

この「朝日新聞デジタル」記事によりますと、元高等教育局長は今は大学入試センターで理事をなさっている様子ですね。

大学入試センターのサイト「組織の概要」

 

 

2.大学入試センターの役員報酬

 

 

理事の報酬は、「給与水準公表」によりますと、

・「役員の報酬等の支給状況」記載では、18,182,000円。

・「役員の報酬水準の妥当性について」記載では、

当センターの理事は、多岐に渡る理事長の業務・意思決定を補
佐する立場にあり、とりわけ高等教育行政について高度な専門性が
求められる。理事の報酬月額は、国家公務員指定職俸給表の俸給
月額を踏まえて決定しているが、理事の職務の特性は、上記のとお
り法人化移行前と同等以上の職責であると言える。
また、平成30年度の文部科学省所管の他独立行政法人等の理
事の年間報酬額は、約13,000千円~18,000千円であり、公表対象
年度の役員報酬規程を勘案すると同水準であることから、報酬水準
は妥当であると考える。

 

懲戒処分を受けた事実上の更迭であっても、「理事」(センターのナンバー2)としての出向。

年収が千八百万円!!!

 

おそろしい世界があったものです。

 

 

統治システムを解体して再構築が必要だと感じます。

家の解体でしたら、こちらまで。

 

 

3.故・中曽根氏の合同葬 文科省が国立大に弔意の表明を求める

唐突ですが、以下は、2020年10月14日 20時44分 東京新聞WEBコピーです。

 

 

17日に実施される内閣と自民党による故中曽根康弘元首相の合同葬に合わせ、文部科学省が全国の国立大などに、弔旗の掲揚や黙とうをして弔意を表明するよう求める通知を出したことが、分かった。13日付。識者からは政府の対応に疑問の声が上がっている。
 政府は2日、合同葬当日に各府省が弔旗を掲揚するとともに、午後2時10分に黙とうすることを閣議了解。同様の方法で哀悼の意を表するよう関係機関に協力を要望することも決めた。加藤勝信官房長官は2日付で、萩生田光一文科相にも周知を求める文書を出した。
 文科省はこれに基づき、国立大や所管する独立行政法人、日本私立学校振興・共済事業団、公立学校共済組合などのトップに対し、加藤長官名の文書を添付して「この趣旨に沿ってよろしくお取り計らいください」と記した通知を出した。
 都道府県教育委員会には「参考までにお知らせします」として加藤長官名の文書を送付。市区町村教委への周知を求めた。
 総務省も7日付で都道府県知事や市区町村長に「政府の措置と同様の方法により哀悼の意を表するよう協力をお願いいたします」との文書を発出している。
 日本大の広田照幸教授(教育学)は「今の時代にそぐわない。通知に強制力はなく、各国立大学法人が判断すべきだ。政治家の葬儀で政府がここまでやる必要があるのか、広く議論することが求められる」と指摘した。
 合同葬の費用は国と自民党が折半する方針で、総額は2億円近くに上る。政府は2020年度予算の予備費から約9600万円を計上し「高額すぎる」などの批判が上がった。加藤長官は「新型コロナウイルス対策に万全を期す観点から積み上げた。必要最小限だ」と説明している。(共同)

 

あな、おそろし!

4.今までの投稿一覧

 

14.オリンピックへのボランティアを大学に通知した高等教育局長は今?

13.入学定員の厳格化で救われた不人気大学

こんにちは。

今回は、文部科学省が進めてきた「大学入学定員の厳格化」によって救われた大学について、その仕組みを書きます。

 

【目次】

1.私立大学等経常費補助金について

2.定員を超過して入学させた大学は、補助金減額

3.地方の中小大学は、赤字大学が半数

4.助かったのは、地方大学

5.定員厳格化についての参考サイト

6.文部科学省による補助金カットのルール変更

7.今までの投稿一覧

 

不動産のご相談は→こちら

 

1.私立大学等経常費補助金について

 

まずは、私立学校等経常費補助金をご理解願います。

 

簡潔に私立大学の財源について記します。

私立大学の収入源は、学生が支払う学費が約9割、税金である私立学校等経常費補助金が約1割です。

私学にとりましては、この私立学校等経常費補助金が命綱です。

 

2.定員を超過して入学させた大学は、補助金減額

 

都市圏の大学人気のため、地方大学は定員に達しない大学が増えました。

これを防ぐため、「入学定員を超えて入学させる大学に対して補助金を減ずる」と文部科学省は決めました。

すなわち、都市圏の大学が合格者を多く出しすぎて歩留まりが良ければ、定員超過になり補助金カットの恐れが生じます。

 

(引用:大学通信 大学Times Vol.33)

 

3.地方の中小大学は、赤字大学が半数

 

受験者数が少なく定員を満たさない地方の中小規模の大学は赤字続きでした。

下の図が示す通り、地方の中小大学の半数は赤字でした

 

(引用:エコノミストOnline)

 

4.助かったのは、地方大学

 

補助金が支給されるか否かは私学にとっては死活問題です。

そこで、都市部の人気大学は補助金カットを怖れ合格者の数を絞りました。

その影響で、都市部人気大学を不合格になった学生は(あるいは受験を敬遠した学生は)地方の中小大学を受験するようになりました。

結果として、地方中小大学にも受験生が増えるようになり入学者が増えました。

定員を満たす大学が増えたということは、学費収入が増え赤字を回避する可能性が高くなりました。

このことで、安堵している地方大学は多いことでしょう。

 

5.定員厳格化についての参考サイト

 

ご関心を持たれました方は、次のサイトをご覧いただけましたら幸いです。
大変分かりやすいサイトだと思います。
なお、記事の日付の古い順に並べましたので、経過が分かり良いと思います。

1.
2019/01/21
東洋経済ONLINE
都市圏の私立大学が合格者数を減らすわけ
定員管理の厳格化で、大学入試はどう変わる
土居 丈朗 :慶應義塾大学 経済学部教授


2.
2019/7
大学Times Vol.33
定員厳格化が招いた「安全志向受験の加速」
安田賢治:大学通信常務取締役

3.
2019/11/25
エコノミストOnline
中小私大の「大量淘汰」前夜 沈むのはどこだ!
中根正義:毎日新聞編集委員

 

6.文部科学省による補助金カットのルール変更

 

「三大都市圏における入学定員超過や三大都市圏以外の地域における入学定員未充足の改善、三大都市圏に所在する大・中規模大学における入学定員を超える入学者数の縮減といった効果が見られる」(文科省通知文)からか、
あるいは大学からの突き上げがあったのか、受験生の苦労を重んじたのかは分かりませんが、文部科学省は私立学校等経常費補助金の取り扱いを変更しました。

 

変更通知文と変更図のアドレスは、

https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/002/002/__icsFiles/afieldfile/2018/09/19/1409177.pdf

 

 

以下は、上記アドレスの文章です。

 

30文科高第454号
私振補 第 4 9 号
平成30年9月11日

学校法人 理事長 殿
文部科学省高等教育局
私学部長 村 田 善 則
(公印省略)

日本私立学校振興・共済事業団
理事長 清 家 篤
(公印省略)

平成31年度以降の定員管理に係る私立大学等経常費補助金の取扱について(通知)

標記について、下記のとおり実施することとしましたのでお知らせします。

 

 

1.
超過入学者数に応じた学生経費相当額を減額する措置について

平成27年7月10日付27文科高第361号及び私振補第30号で通知した「平成28年度以降の定員管理に係る私立大学等経常費補助金の取扱について(通知)」において、「平成31年度から、入学定員充足率が1.0倍を超える入学者がいる場合、超過入学者数に応じた学生経費相当額を減額する措置を導入する。」としていたことについては、平成28年度から平成30年度までの3年間にわたって段階的に実施した不交付となる入学定員超過率の厳格化により、三大都市圏における入学定員超過や三大都市圏以外の地域における入学定員未充足の改善(※1)、三大都市圏に所在する大・中規模大学における入学定員を超える入学者数の縮減(※2)といった効果が見られることや、後記「2.入学定員充足率が1.0倍以下の場合の増額措置」を実施することになっていることを踏まえて、当面実施を見送り、後記措置の実施状況及び効果等を検証しつつ、3年後を目途に実施の要否を検討することとする。

※1 私立大学の入学定員充足率の推移
三大都市圏   その他の地域
平成26年度 106.22%   95.87%
平成30年度 103.18%  100.81%
出典:私立大学・短期大学等入学志願動向(日本私立学校振興・共済事業団)

※2 三大都市圏の大・中規模大学(収容定員 4,000 人以上)における入学定員を超える入学者数

平成26年度 27,479人 → 平成29年度 19,648人
(日本私立学校振興・共済事業団において補助金算定に用いたデータによる。)

2.
入学定員充足率が1.0倍以下の場合の増額措置について

同通知において、「入学定員充足率が0.95倍以上、1.0倍以下の場合には、一定の増額措置を行う」としていたことについては、入学定員のより厳格な管理及び学生確保に向けたより一層の努力を促す観点から、入学定員充足率が0.9倍以上、1.0倍以下の場合には、下表の「学部等ごとの入学定員に対する入学者数の割合(入学定員充足率)による増減率」により補助金の基準額(経常的経費×補助率)を増額する措置を平成31年度より行うこととする。

【学部等ごとの入学定員に対する入学者数の割合(入学定員充足率)による増減率】
※医歯学部を除く
入学定員充足率 100%~95%  94%~90%
増額割合    + 4%     + 2%

○別添資料:私学助成における定員管理の適正化について

本件連絡先
文部科学省高等教育局私学部私学助成課
TEL:03-5253-4111(内線2028)
日本私立学校振興・共済事業団助成部補助金課
TEL:03-3230-7297

 

〔参 考〕

◆平成 28 年度以降の定員管理に係る私立大学等経常費補助金の取扱について
(通知)(平成 27 年 7 月 10 日 27 文科高第 361 号・私振補第 30 号)抄

1~2 (略)
3. 基準改正の内容
(1)(略)
(2) 入学定員を上回る学生分の減額等
平成 31 年度から、入学定員充足率が 1.0 倍を超える入学者がいる場合、超過入学者数に応じた学生経費相当額を減額する措置を導入する。現在の一般補助における教育研究経常費等の算定の中でも、学部において収容定員充足率が 1.0 倍を超えている学生分は措置していないが、平成 31 年度からは、入学定員充足率が 1.0 倍を超える入学者に見合う額をさらに減額する予定である。一方で、定員管理の適正化に向けた努力をする中で、結果として定員を下回ることも考えられることから、入学定員充足率が 0.95 倍以上、1.0 倍以下の場合には、一定の増額措置を行う予定である。
(中略)
本取扱については、新しい算定基準であるため、平成 30 年度までの私立大学等経常費補助金が不交付となる定員充足率の厳格化の状況も勘案しつつ、詳細の基準については引き続き検討していくこととする。
以下(略)

 

筆者注

別添資料は省略。先のアドレスからご覧願います。

 

7.今までの投稿一覧

 

13.入学定員の厳格化で救われた不人気大学

12.新自由主義を取り入れた大学の失敗

11.(結果公表)「大学無償化法」の対象となる大学とは?

10.リクルートキャリアの問題点

9.「大学無償化法」の対象外となる大学とは?

8.新学部の作り方

7.大学を舞台とした映画 と 『アニマル・ハウス』

6.専門職大学の審査結果から読み取れること

5.「オリンピック」を御旗にする文部科学省

4.文部科学省による大学調査結果

3.大学授業料減免は、大学に負担させよ。

2.アメリカンフットボールと日本型組織

1.京都大学の立て看板撤去について

 

 

 

 

 

 

 

 

12.新自由主義を取り入れた大学の失敗

こんにちは。

【目次】

1.ここ30年間の大学の変化

2.大綱化の意味

3.新自由主義の一環としての大学行政

4.今までの投稿一覧

 

1.ここ30年間の大学の変化

 

「note」という表現型ブログを最近興味深く読んでいます。

そのnoteに、『私が一橋大学の教員を辞めた理由〜国立大に翻弄された苦しい日々』と題する生々しいブログが引用されていました。

河野真太郎さんとおっしゃる方のブログです。

 

まずは、河野氏がまとめた年表です。

1991年 大学設置基準の大綱化
1996年 東京大学教養学部再編・大学院重点化
一橋大学大学院言語社会研究科発足(学部化はされず)
2004年 国立大学の法人化(国立大学法人法)
2015年 国立大学法人法改正(「ガバナンス」の強調、教授会の議決権剥奪)
2015年6月 文部科学大臣通知「国立大学法人等の組織及び業務全般の見直しについて」(文系取り潰し?)

 

最後に「(文系取り潰し)」という言葉がありますね。
解体工事は、古い建物を取り潰して土地に新しい価値を生む作業です。

トップ

 

2.大綱化の意味

 

1991年の「大学設置基準の大綱化」から大学の変革が始まりました。

この「大綱化」ですが、「大綱」の意味は、goo辞書では、

1.ある事柄の根本となるもの。大本 (おおもと) 。「条約の大綱を定める」

2.大きづかみにとらえた内容。大要。「事業の大綱を示す」

ところが、河野氏のブログによりますと、「規制緩和」のことだったのですね。

当面の出発点となったのは1991年の「大綱化」である。大綱化とは聞き慣れない言葉であろう。私も、どう説明すべきかと思い、英語にはどう訳せるのか調べたことがある。すると、大学評価・学位授与機構の英文資料では、なんのことはない、deregulationと訳されているのである。つまり、規制緩和である。

 

3.新自由主義の一環としての大学行政

 

確かに、ここ30年間の大学行政の変化を「新自由主義」という概念で見直せば、一本の筋が見えてきます。

「新自由主義」で導入されたのが、競争資金導入、理事長学長によるトップダウン強化、教職員の非正規化。

教職員のやる気が高まり、研究の中長期成果がなされ、ひいては学生の学ぶ意欲が伸びるならば、この変化を検証する意義がありますが、すべてが低下という結果を生んでいます。

文部行政の失敗としか言いようがありません。

 

引用元

私が一橋大学の教員を辞めた理由〜国立大に翻弄された苦しい日々(河野 真太郎。2019年6月9日)

note「文系お取り潰し。、2015年6月の文部科学大臣通知「国立大学法人等の組織及び業務全般の見直しについて」(さくらと島。1919年10月30日)

4.今までの投稿一覧

 

12.新自由主義を取り入れた大学の失敗

11.(結果公表)「大学無償化法」の対象となる大学とは?

10.リクルートキャリアの問題点

9.「大学無償化法」の対象外となる大学とは?

8.新学部の作り方

7.大学を舞台とした映画 と 『アニマル・ハウス』

6.専門職大学の審査結果から読み取れること

5.「オリンピック」を御旗にする文部科学省

4.文部科学省による大学調査結果

3.大学授業料減免は、大学に負担させよ。

2.アメリカンフットボールと日本型組織

1.京都大学の立て看板撤去について

11.(結果公表)「大学無償化法」の対象となる大学とは?

こんにちは。

すっかり秋空となりました。

気候の変化で風邪気味の方もいらっしゃることと思います。

ご自愛をくださいませ。

 

さて、『「大学無償化法」の対象外となる大学とは?』というタイトルのブログを5月末に公開しておりましたが、対象となる大学を文部科学省が9月20日付け文章にて発表しましたので、お伝えします。

 

大学等における修学の支援に関する法律(令和元年法律第8号)による
修学支援の対象機関となる大学等(確認大学等)について

 

上記を見ますと、多くの大学が支援機関として認められたようです。

直近3カ年において連続して、在籍する学生数が各校の収容定員の8割を割っている場合」は無償化の対象外となりますので、支援対象から外れる大学が続出するのではないかと危惧しておりましたが、本年度は多くの大学が対象外となりませんでした。

「直近3カ年において連続して」という緩和条件で救われた大学が多かったと推測します。

(直近の単年度でしたら、約100大学が収容定員の8割を満たさない)

 

http://kaitairescue-119.net/

 

各大学においては、定員割れにならないために、より一層の努力をしてほしいものです。

 

今までの投稿一覧

 

11.(結果公表)「大学無償化法」の対象となる大学とは?

10.リクルートキャリアの問題点

9.「大学無償化法」の対象外となる大学とは?

8.新学部の作り方

7.大学を舞台とした映画 と 『アニマル・ハウス』

6.専門職大学の審査結果から読み取れること

5.「オリンピック」を御旗にする文部科学省

4.文部科学省による大学調査結果

3.大学授業料減免は、大学に負担させよ。

2.アメリカンフットボールと日本型組織

1.京都大学の立て看板撤去について

 

 

 

10.リクルートキャリアの問題点

暑い夏となりました。

今日から甲子園高校野球大会です!

(画像引用:阪神球場)

 

さて、大学と大学生と企業の3者を結ぶ情報会社、リクルートキャリアがまた勇み足です。

競争が激しい情報業界においては、企業のニーズをつかみ一歩でも速く商品化しようとするあまり、個人情報の取り扱いにおいて不備が生じるのでしょう。

結果として、情報化の波に弄ばれる学生たちが気の毒です。

この学生たち、一時前は「被害者」と呼ばれていたことでしょうが、現代は単なる「学生の皆さま」と呼ばれるにすぎません。

不正を糾弾すべき社会の目が緩やかになってきたからだと思います。

この隙をついて人間をデータ化し商品として販売する企業にとっては、「やりやすい時代の到来」ですね。

困ったものです。

 

内定辞退学生を予測し、企業に販売

 

まずは、共同通信(KYODO8月1日20時42分配信)記事の一部を記します。

 就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリア(東京)が、就職活動中の学生が「内定を辞退する確率」をさまざまな個人データから人工知能(AI)で予測し、本人への十分な説明なしに企業に販売していたことが1日、分かった。 以下、略。

 

【少しだけ解説を加えますと・・・・・】

A社は学生を自社に引き留め内定を出し入社にこぎつけたいのですが、学生はA社の内定をもらった後も就職活動を続け何社もの面接を受けているのが実情です。

学生は、入社希望度の高いB社に内定をもらった途端、A社の内定を辞退することになります。

A社側からしますと、結果として内定を辞退する学生に対して過剰な労力をつかう無駄をなくしたいと思うのも当然です。

speedひかし、内定を出した学生が入社に結びつくのかは、当年度については蓋を開けるまで分かりません。

ここでリクルートキャリアが考え出したのが、前年度の学生の就職活動動向をデータベース化し、当年度の学生に当てはめて「内定辞退予測」を出すこと。

まるで選挙結果の当選確率を予測するみたいですね。

結果として7983人の学生データが38社に渡りました。

企業側としては、内定辞退する可能性が大きいと予測された学生に対して、辞退されないように連絡を密に取るなどの判断根拠が得られることとなります。

なお、この内定辞退確率情報ですが・・・・・

リクルートキャリの説明では、情報はリクナビの閲覧データをもとに算出したスコアであり、学生の能力を推し量るものではないとのこと。
また、「提供された情報を、合否判定に活用しないことに同意した企業にのみ提供していた」ということです。

事実ならば安心なのですが、、、、。

 

(画像引用:Yahooニュース)

 

リクルートキャリアのプレスリリースでは、

 

リクルートキャリアサイトの記事アドレスを記します。

 

8月1日

当社サービスに関する、一部の報道につきまして

 

8月5日

『リクナビDMPフォロー』における学生7983名を対象としたプライバシーポリシー同意取得の不備と、サービスの廃止につきまして

 

8月5日付け記事では、次のことが書かれています。

 

【当社の認識欠如についてのお詫び】

今回、多くの関係者の皆さまから、さまざまなご指摘をいただきました。何よりも学生の皆さまの「不安」「怖い」「裏切られた」といった言葉に触れることで、学生の皆さまの心情に対する当社の認識欠如こそが、根本的な課題であると認識するに至りました。
特に、学生の皆さまにとっては初めての就職活動だからこそ、不安や戸惑いを感じられることも多く、本来であれば学生の皆さまの視点に十分に寄り添うことを第一にすべきだったと重く受け止めております。学生の皆さまの心情やご状況を十分に踏まえたサービス設計・経営判断ができていなかったという強い反省のもと、今後、リクナビなど新卒学生向けサービスの在り方を、抜本的に変えていく所存です。

 

 二箇所を太字としましたが、この2点こそ、情報を扱い新規サービスを構築する企業が欠いてはいけない一番重要なことだと考えます。

 

人生に一回しか体験することのない新卒就職活動。

不安を深めることがあってはいけません。

大学時代までの体験を再構築し真っ新な気持ちで新天地に歩みだす姿は、解体工事と更地の再利用をおもい起こさせます

 

 

以下は、ご参考まで。

2015年発生、リクルートキャリアによる個人情報約3万7千件誤送信事件

(「サイバーセキュルティー.com」 2017.07.27)

 

今までの投稿一覧

 

10.リクルートキャリアの問題点

9.「大学無償化法」の対象外となる大学とは?

8.新学部の作り方

7.大学を舞台とした映画 と 『アニマル・ハウス』

6.専門職大学の審査結果から読み取れること

5.「オリンピック」を御旗にする文部科学省

4.文部科学省による大学調査結果

3.大学授業料減免は、大学に負担させよ。

2.アメリカンフットボールと日本型組織

1.京都大学の立て看板撤去について

 

9.「大学無償化法」の対象外となる大学とは?

こんにちは。

令和時代になり早々に設立した法律の一つが「大学等における就学の支援に関する法律(通称「大学無償化法」)」です。

(この件につきましては、私は「3.大学授業料減免は、大学に負担させよ」で昨年6月に触れています)

 

「大学無償化法」について、世間、特に受験生と親においては、つぎの2点に関心が高まっています。

・「どんな入学生・在学生が支援対象となるか?」

・「支援内容は?」

 

大学側にとっての重要関心項目

 

しかし、大学側からしますと、次の1点のみが重要関心事です。

 

・「どんな大学ならば、無償化支援対象となるか(大学にとっての必要要件は?)」

 

文部科学省は、次のように説明をしています。

 

対象となる大学等の要件
Q 対象となる(機関要件を満たす)大学等のリストは、いつ頃公表されますか。
A 本年9月中下旬を目途に公表したいと考えています。※ 対象となる大学等の要件に関しては、「機関要件の確認事務に関する指針(2019年度版)(案)」において、機関要件に関するQ&Aを掲載しています。

 

(以下は、文部科学省サイトのリンクです。
「高等教育段階の教育費負担軽減」の「高等教育段階の教育費負担新制度に係る質問と回答(Q&A)」の下段)

 

この「機関要件の確認事務に関する指針(2019年度版)(案)」の内容をまとめますと(CLABEL引用)、無償化の対象となる大学には、次の4点が求められていることが分ります。

 

 

大学の要件

1.

実務経験のある教員による授業科目が標準単位数(4年制大学の場合、124単位)の1割以上、配置されていること

2.

法人の「理事」に産業界等の外部人材を複数任命していること

3.

授業計画(シラバス)の作成、GPAなどの成績評価の客観的指標の設定、卒業の認定に関する方針の策定などにより、厳格かつ適正な成績管理を実施・公表していること

4.

法令に則り、貸借対照表、損益計算書その他の財務諸表等の情報や、定員充足状況や進学・就職の状況など教育活動に係る情報を開示していること

 

経営に課題のある法人の設置する大学の扱い

・法人の貸借対照表の「運用資産-外部負債」が直近の決算でマイナス
・法人の事業活動収支計算書の「経常収支差額」が直近3カ年の決算で連続マイナス
・直近3カ年において連続して、在籍する学生数が各校の収容定員の8割を割っている場合

 

 

学にとって厳しい課題

 

前章の経営に課題のある法人の設置する大学の扱い朱文字)が、大学にとっては厳しい課題となります。

私が想像するに、わけても
「・直近3カ年において連続して、在籍する学生数が各校の収容定員の8割を割っている場合」
が厳しいと考えます。

全国に750以上ある大学のうち、100校程度が「在籍学生数が収容定員の8割に満たない」と聞くからです。
いわゆる「定員割れ大学」=「学生からの人気がない大学」です。

(ある調査では、762大学中、在学生数が定員の8割未満は109校)

 

 

もしも自らの大学が「大学無償化の要件に達しない学校である」ということになりましたら、受験生の評判は更に下がることでしょう。

大学が「経常費補助金で不利になる」ということがありましても、そのような情報は受験生には興味がなく見えないことです(大学サイトの情報公開ページには公開されています)。

しかし、「大学無償化の対象外の大学である」とされますことは、受験生からも見えやすい事柄です。

 

さて、収容定員を在学生数で充足させるためには、二つの方法があります。

1.大学を良くし、受験生の人気を上げ、受験生(在学生)を増やす。

2.収容定員数自体を減らす。

 

数字上の定員充足率を8割までに上げるため、2番目の禁じ手を使う大学も出てくるかもしれません。
困った大学ですが、ありそうです。

 

 

 

邪推すれば、文部科学省は「大学無償化」によって、大学の選別淘汰を図っているのかもしれませんね。

 

在籍学生数が収容定員の8割に満たない大学は、2020年4月に間に合わなくとも、短年で無償化の対象となるよう、良い大学作りを今日から目指して欲しいです。

 

 

今までの投稿一覧

 

9.「大学無償化法」の対象外となる大学とは?

8.新学部の作り方

7.大学を舞台とした映画 と 『アニマル・ハウス』

6.専門職大学の審査結果から読み取れること

5.「オリンピック」を御旗にする文部科学省

4.文部科学省による大学調査結果

3.大学授業料減免は、大学に負担させよ。

2.アメリカンフットボールと日本型組織

1.京都大学の立て看板撤去について

 

 

 

 

8.新学部の作り方

こんにちは。

昨日3月24日、桜を観ました。

禅寺のお庭で。

 

 

(画像引用:公益財団法人「日本さくらの会」

 

今回は、新しい学部を作る過程を簡潔に記します。

 

新学部の作り方

 

まずは、次章の大学を設置するための概要をご覧願います。

 

大学設置認可制度の概要

 

大学設置認可制度の概要を記します。

 

公私立大学等を設置する場合には,学校教育法,私立学校法の規定により,文部科学大臣の認可が必要となっています。
文部科学大臣は認可を行う場合には,大学設置・学校法人審議会に諮問しなければならないこととされています。

大学設置認可・届出制度の流れ図

(画像引用:文部科学省の高等教育局高等教育企画課大学設置室のページ

 

新学部設置認可申請書類

 

申請するにはどのような事項(準備)が必要かということを記すよりも、申請時に必要な書類一覧を羅列します。

その方が事務の大変さと実態がご理解しやすいと思ったからです。

 

一例として、富山県立大学看護学部を記します。

(この大学を記しますのは無作為・任意です。該当大学が文部科学省サイトの一番上に載っていましたので)

 

 

以下が提出書類一覧です。

(1)基本計画書(別記様式第2号)

(2)校地校舎等の図面

(3)学則

(4)趣旨等を記載した書類①    

(5)学生の確保の見通し等を記載した書類①    

(6)教員名簿

(7)審査意見への対応を記載した書類(6月)

(引用サイト:富山県立大学看護学部の学部等設置認可申請書(平成30年8月)

 

何か他に大切なことがあるような・・・・

 

学生数を増加させようなどの安易な気持ちで法人が新学部を設置することは、学生への不利益となります。

また、日本における大学の価値が世界と比して下がることのもつながります。

しかしながら、学校設置・学校法人審議会が申請者に求める申請書が現実とあまりにも乖離しているのではないか、すなわち形式倒れの書類づくりのための申請書になっているのでははいかと危惧します。

 

 

今までの投稿一覧

 

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