4.文部科学省による大学調査結果

こんにちは。

今回は、文部科学省による大学調査結果について、思うところを記します。

 

目次

1.「大学調査結果」についての日本経済新聞の記事

2.「設置計画履行状況等調査」とは?

3.調査結果は?

4.「改善意見」の内容は?

5.1番の「定員充足率が0.7未満」について

6.2番の「定員以上に学生が入学する」ことについて

7.3番目の「専任教員の退職年齢」について

8.4番の「15回目の授業時間に、講義を行わず試験時間としている」について

9.まとめ

 

1.「大学調査結果」についての日本経済新聞の記事

 

まずは日本経済新聞webニュース(2018/2/23 19:44)を転載させていただきます。

 

『新設学部に是正意見、一部私大の運営問題視 文科省』

 文部科学省は23日、新設した大学や学部の運営状況を審査する2017年度の「設置計画履行状況等調査」の結果を公表した。対象となった大学、短大など412校のうち、50%にあたる208校に不備を指摘する「改善意見」がつき、うち5校は早急な見直しを求める「是正意見」とした。

 是正意見がついたのは全て私立大。武蔵大では一部学科で入学定員の1.3倍超を受け入れており、厳格な定員管理が求められた。大和大では教員の大幅な減少が問題視された。麻布大、名城大、京都光華女子大ではいずれも一部の課程で授業日数が不足していた。

改善意見がついた208校の内訳は国立6校、公立4校、私立198校。定員充足率が7割未満だったり、定年を超えた教員が多かったりする学部・学科に、見直しを求める内容が多かった。

調査は大学設置・学校法人審議会の委員会が実施。意見がついた学校は、5月までに文科省に改善報告書を提出する。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27320330T20C18A2CR8000/

2.「設置計画履行状況等調査」とは?

 

文部科学省高等教育局高等教育企画課大学設置室では、大学に対して設置計画履行状況等調査を行っています。→文部科学省サイト

この「設置計画履行状況等調査」は、すべての大学が調査対象ではなく、「大学の設置」・「学部の新設」・「定員増加」をした大学についてのみ、4年間(初めての卒業生が出るまでの期間)調査を行うことです。

 

〇調査対象は、
・大学の設置認可を受けた大学
・学部等の設置認可を受けた大学(又は届出を行った大学)
・収容定員増加の認可を受けたもので、充足状況が著しく不適切な大学

平成29年度は、412校(国立84校、公立24校、私立304校)でした。

〇調査期間は、
原則として開設年度の始まりから完成年度の終わりまで。
(ただし、本調査において改善意見、是正意見又は警告が付されている場合にはこの限りでない→ということは、完成年度を超えても調査が続くことになる)
すなわち、4年制大学は1年生が入学してから卒業するまでの4年間が調査期間。

〇調査方法は、
基本的には書面調査であるが、面接調査・実地調査もありえる。

平成29年度は、書面調査は412校。
書類調査に加え面接調査を実施したのは19校、実地調査を実施したのは10校。

3.調査結果は?

 

まずは、文部科学省の調査結果を記します。

調査対象412校の内、

●「警告」は一校もありません。

●「是正意見」は5校です。

●「改善意見」は208校です。

●意見が付されなかった学校は204校(412校ー208校=204校)です。

(「是正意見」が付された学校は、同時に「改善意見」も付されています)

 


少し長くなりますが、「警告」・「是正意見」・「改善意見」の文科省の定義をコピーします。

改善意見
設置計画履行状況調査の結果,留意事項の履行状況等に関し,改善を強く求める事項があり,認可を受けた者又は届出を行った者に対して,その改善を求める意見。

是正意見
設置計画履行状況調査の結果,早急な是正が求められる場合,又は改善意見を受けた後に行った設置計画履行状況調査の結果,当該改善意見が求める事項について不履行がある場合若しくは対応が不十分な場合において,認可を受けた者又は届出を行った者に対して,その早急な是正を求める意見。

警告
設置計画履行状況調査の結果,是正意見を受けながら,その早急な是正に向けた対応がなされていないと認められる場合に,認可を受けた者又は届出を行った者に対して,大学,大学院,短期大学及び高等専門学校の設置等に係る認可の基準(平成15年文部科学省告示第45号)第2条第3号(※4参照)に規定する「設置計画の履行の状況が著しく不適当な状態」に該当することになるおそれがある旨を伝達すること。
【※4「大学,大学院,短期大学及び高等専門学校の設置等に係る認可の基準(平成15年3月31日文部科学省告示第45号)」(抄)
第2条 文部科学大臣は,大学,大学院,短期大学及び高等専門学校(以下この条において「大学等」という。)に関する法第四条第一項の認可の申請を審査する場合において,認可申請者が次の各号のいずれかに該当するときは,当該認可をしないものとする。
1~2 (略)
3 大学の設置等の認可の申請及び届出に係る手続等に関する規則(平成十八年文部科学省令第十二号)第十三条に規定する設置計画の履行の状況が著しく不適当と認められる大学等を設置する者】

 

いかがでしょうか?

多くの大学に「意見」が付されていますね。

半数の大学に何かしらの意見が付されていることに驚きます。

意見のうち大多数を占める「改善意見」の内容を次に記します。

4.「改善意見」の内容は?

 

208校に付された「改善意見」の内容を調べました。

主な意見は次の4点でした。

 

1.
定員充足率が0.7倍未満となっているので、入学定員の見直しを検討すること。

2.
入学定員を超過して学生が入学しているので、改善に努めること。

3.
定年規程に定める退職年齢を超える専任教員数の割合が比較的高いので、定年規程の趣旨を踏まえた適切な運用に努めるとともに、教員組織編制の将来構想について検討すること。

4.
シラバスにおいて15回目に定期試験を行う科目が見受けられ、大学設置基準第21条の授業時間数を確保できていないと考えられので、1単位当たりに必要な授業時間数を適切に確保するとともに、シラバスの確認体制を充実させること。

(元資料は→「平成29年度設置計画履行状況等調査の結果について」

 

これら4点について、原因と私の考えを記します。

 

 

 

5.1番の「定員充足率が0.7未満」について

 

原因は、
大学の学部学科に魅力がないにも関わらず、定員を増加されたことです。

対策としては、
1.定員を減少させる。
2.学部学科の魅力を高める教育をするよう自助努力をする。
3.魅力のない学部学科を廃止し、新たな学部学科を新設すること。

このことは、教職員の雇用に係ることですので、痛みを伴う改革になります。
しかし、少なくとも2番の自助努力はすぐにでもなされるべき喫緊の課題でしょう。


6.2番の「定員以上に学生が入学する」ことについて

 

原因は、
合格者数を決める際に、定着率を読み間違えたことです。

対策は、
「補欠合格」という制度を作り、まずは少なめに合格者を出し、定員に至るまで徐々に補欠合格者を合格に繰り上げることです。

しかし、定着率を読むことは事務上なかなか困難なことです。
合格者および補欠合格者を少なめにして、もしも4月1日の段階で定員が充足しなければ、特に私学の場合は財政に関わる大事です。

 

7.3番目の「専任教員の退職年齢」について

 

原因は、
文部科学省に認可(又は届出)書類を提出する際には、重要科目は専任教授が担当せねばなりませんが、この専任教授が完成年度を迎えるまでに定年を迎えた時に、すぐに新任の教授を探し雇うことが困難だからです。

対策は、
専任教授が定年を迎えることを見越して、同等の成果を持つ教授を探すことしかないです。

しかし、「研究(論文)実績」と「教育(教育期間)実績」を併せ持つ専門家の数は限られています。
短期間に適任者を探すことは困難なことでしょう。

 

8.4番の「15回目の授業時間に、講義を行わず試験時間としている」について

 

原因は、
文部科学省の決まり事が、形だけではなく実質化しているという変化にあります。

かつては、半期15回の授業を行うという決まりごとは厳しくありませんでした。
13回程度の講義を行い、残りの2回はオリエンテーションなり試験とし講義を行わないケースが多かったです。

対策は、
時代の変化を全教職員に周知徹底させ、シラバス(授業計画を書いた、学生に配布する冊子)に15回分の授業計画を明示することです。

 

9.まとめ

 

付与された意見内容を読む限り、研究及び教育の根本にかかわる事案は見つかりませんでした。

事務的な内容の意見付与に対して、大学が委縮しなければ良いと思います。

また、この調査結果を受けた大学経営陣が学内の教職員を締め付ける材料としないことを望みます。


とは申しましても、定員充足率が0.7未満の大学は、その理由を分析しすぐにでも対策を取ってほしいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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