5.「オリンピック」を御旗にする文部科学省

こんにちは。

甲子園での高校野球が終わりました。

この時期になると「この夏も心ときめくことがなく、秋がやってくるんだなあ」と寂しく思います。

 

(画像引用:中日スポーツ)

 

(画像引用:朝日新聞)

 

今回は、文部科学省が大学等に通知した「東京五輪・パラリンピック期間中の対応」について、A、B、Cの3点を載せます。

A.デジタル毎日記事
B.文部科学省通知「30ス庁第236号(平成30年7月26日)」
C.感想

A.東京五輪・パラ 「授業避けて」国通知、ボランティア促す

 

標記は、毎日新聞(2018年7月27日のデジタル毎日)の見出しです。

以下が記事本文です(一部、朱色を入れました)。

 スポーツ庁と文部科学省は26日、2020年東京五輪・パラリンピックの期間中にボランティアに参加しやすいように全国の大学と高等専門学校に授業や試験期間を繰り上げるなど柔軟な対応を求める通知を出した。

多くの大学は7~8月が試験期間となる。通知では学生がボランティアをすることへの意義を説き、大会期間中は授業や試験を避けることを促した。授業開始時期の繰り上げや祝日の授業実施は学則などに基づき、学校の判断で特例措置を講じることができる。

 首都大学東京は昨夏、期末試験を大会前に終了させるなどして大会期間中に原則、授業や試験を行わないことを決めている。国士舘大も26日、同様の方針を発表した。【田原和宏】

 

この記事の中の文部科学省が大学等に出した「通知」(赤字の部分)に驚きました。
近年、文部科学省は「半期15回の授業数の徹底」を大学に厳しく求めていました。
今回の通知はその求めと矛盾すると感じました。

 

B.平成32年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法及び平成31年ラグビーワールドカップ大会特別措置法の一部を改正する法律による国民の祝日に関する法律の特例措置等を踏まえた対応について(通知)

 

上記が、通知文「30ス庁第236号(平成30年7月26日)」の標記です。

以下に本文を記します。

 

平成30年7月26日

各国公私立大学長
各国公私立高等専門学校長 殿

スポーツ庁次長
今里 讓

文部科学省高等教育局長
義本 博司

 

平成32年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法及び平成31年ラグビーワールドカップ大会特別措置法の一部を改正する法律による国民の祝日に関する法律の特例措置等を踏まえた対応について(通知)

平成30年7月20日付け30ス庁第235号で通知したとおり,「平成32年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法及び平成31年ラグビーワールドカップ大会特別措置法の一部を改正する法律」が平成30年6月20日に公布されました。
この法律では,東京オリンピック競技大会の開会式前日等について,国内外要人や大会関係者の安全・円滑な輸送及び警備と経済活動や日常生活の両立を図るため,国民の祝日に関する法律の特例として,平成32年に限り,海の日を7月23日に,体育の日を7月24日に,山の日を8月10日にすることとしています。
ついては,平成32年度の学事暦の設定に当たっては,この法律の趣旨を踏まえて,各大学等において適切に対応いただくようお願いします。
また,平成28年4月21日付け28ス庁59号で通知したとおり,学生が,オリンピック・パラリンピック競技大会等に参加することは,競技力の向上のみならず,責任感などの高い倫理性とともに,忍耐力,決断力,適応力,行動力,協調性などの涵養の観点からも意義があるものと考えられます。さらに,学生が,大学等での学修成果等を生かしたボランティア活動を行うことは,将来の社会の担い手となる学生の社会への円滑な移行促進の観点から意義があるものと考えられます。この観点から,平成32年度の学事暦を変更する予定の大学もあるところです。
各大学等において,例えば,学生の同大会等への参加や同大会に係るボランティア活動への参加のため,学事暦の変更等を行う場合は,下記の諸点にも留意していただくようお願いします。

1 各大学の学則において,授業日や休業日の変更等についての手続きが予め規定されている場合には,平成32年度の学事暦について,例えば,2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催期間中(平成32年7月24日~8月9日,8月25日~9月6日)に,授業・試験を行わないようにするため,授業開始日の繰上げや祝日授業の実施の特例措置を講ずることなどが可能であり,学則の変更や文部科学大臣への届出を要しないこと。

2 1の学則の規定に基づく特例措置によらず,学則の変更が必要となるような学事暦の変更により対応を行う場合には,次の諸点にも留意する必要があること。なお,(3)については,1の学則の規定に基づく特例措置による場合にも,留意する必要があること。

(1)平成25年3月29日付け24文科高第962号で通知しているとおり,各授業科目の授業期間について,10週又は15週にわたる期間を単位として行うことを原則としつつ,教育上必要があり,かつ,十分な教育効果をあげることができると認められる場合には,各大学及び短期大学における創意工夫により,より多様な授業期間の設定が可能となっていること。

(2)10週又は15週と異なる授業期間を設定する場合は,教育上の必要に加え,10週又は15週を期間として行う場合と同等以上の十分な教育効果を上げることができると認められることが必要であること。

(3)授業期間の弾力化は,単位の修得に必要な授業時間を変更するものでなく,我が国の大学の単位制度の国際的通用性の観点から,基準に適合するよう十分留意すること。

(4)学期,授業を行わない日及び授業日時数については,学則に記載することとされていることから,学則の変更が必要となるような学事暦の変更を行う場合には,公私立大学にあっては,文部科学大臣への届出が必要となること。

【問い合わせ先】

文部科学省代表電話 03-5253-4111

(オリパラ特措法・ラグビー特措法一部改正法関係)
スポーツ庁オリンピック・パラリンピック課(内線3494)

(大学の学事暦等の取扱い関係)
文部科学省高等教育局大学振興課(内線3338)

添付書類

 

C.感想

 

「あきれた」の一言です。

弁護士ドットコムの記事が、法律の観点から分かりやすく解説していました。
こちらをクリック

 

「通知文」で特に気になる箇所を点検していくことにします。

 

【その1】

「さらに,学生が,大学等での学修成果等を生かしたボランティア活動を行うことは,将来の社会の担い手となる学生の社会への円滑な移行促進の観点から意義があるものと考えられます。」

ボランティア活動は、学生の社会への円滑な移行促進のために行うものでしょうか?

 

【その2】

「この観点から,平成32年度の学事暦を変更する予定の大学もあるところです。」

学事歴を自らの考えで変更する大学があってもそれは大学の自由です。
しかし、この大学の存在を追い風として通知文に盛り込む姿勢が姑息です

 

【その3】

「各大学等において,例えば,学生の同大会等への参加や同大会に係るボランティア活動への参加のため,学事暦の変更等を行う場合は,下記の諸点にも留意していただくようお願いします。」

「授業時間確保の厳格化」と「学事暦の変更」との間にある矛盾を文部科学省自ら認識しているのですね。
この矛盾点を解消するために、「下記の諸点にも留意していただくようお願いします。」とこじつけた諸点を併記しています。

文部科学省は正直に次のように本心を書けばよいと思います。

※ 正直な通知(案)

文部科学省は授業時間確保を各大学に課してきました。
しかし、2020年夏にオリンピックという国家行事が行われます。
ボランティアの人手が足りません。
したがって、各大学においては学事暦を変更してほしいのです。
また、学生がボランティアに参加する気になるよう、ボランティア活動に単位認定してほしいです。
これが本音です。
しかし、授業時間確保を大学に厳しく課してきた文部科学省、安易な社会活動に対する単位認定を否定してきた文部科学省としては、この前言を翻すことは出来かねます。
そこで、一応、建前として留意点を添えます。
どうか、建前は建前として、本音を汲んでいただけましたら助かります。
(実は、我々も辛いのです。他省と官邸からの圧力には逆らえないのです。お察し願います)

 

最後に。

国家行事を御旗にして大学に参加を迫ってくる文部科学省への危惧

 

再度、文部科学省の通知文を記します。

「学生の同大会等への参加や同大会に係るボランティア活動への参加のため,学事暦の変更等を行う場合は,」

この「同大会に係るボランティア活動への参加のため」という理由が、知らぬうちに「あらゆる国家行事への参加のため」という理由に拡大しないことを祈るばかりです。

 

「世界情勢を鑑みるに、全ての大学と学生は国家行事に積極的に参加すること」という文面の通知が届きませんように!

 

 

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